2024/03/15

Deutsche Grammophon the Original Source Series ーアナログ限定盤


オーディオは音楽を聴くためのものであるべきなのですが、オーディオマニアは往々に機器の音質へのこだわりが先に立ってしまい、主にその話ばかり書いてきたので、今回は音源の話を書きます。 半年ほど前にウィーンのオーディオ仲間であったノベルトさん(こちら)からメールで教えてもらったのが Deutsche Grammophon (DG) の the Original Source Series アナログ限定盤 (タワレコサイトの説明はこちら)。1960年代後半から1970年代前半にかけて、ドイツグラモフォンは4トラックのテープレコーダーで録音会場でのライブの演奏を2チャンネルは直接音、後の2チャンネルは間接音をとる形で録音し、ミックスダウンしてレコードをプレスするためのマスター・テープをつくっていたとのこと。このシリーズはこのオリジナルの4トラック・テープを再生しそれをダイレクトカットの手法でリアルタイムでミックスダウンして原盤を作りプレスした限定アナログ盤。(注:ここで書くオリジナルのテープとは、録音後編集した音楽的に最終バージョンのテープです)


ダイレクトカットなので当然ながらプレスされる枚数も少ない。クラシックなので爆発的に売れるということもないのか、ノベルトさんに教わってから調べてみると在庫がまだあったので早速2枚購入して聴いて、その鮮度の高さとリアルな臨場感にビックリ。早速、発売されているシリーズの他のLPをネットで注文し、発売予定のものを予約しました。



豪華な装丁でオリジナルテープの保存箱の記録用紙の写しが付録でついてきます。発売当初のものとは異なりジャケットは艶消しでシボ加工がされています。下の写真のように濃淡が微妙に違いますが(右側が初期盤)、新しい方がジャケット・デザイナーの意図するイメージに近いのではないかと思いました。


持っていたクライバーのベートーヴェン交響曲七番のドイツプレス初期盤と聞き比べました。演奏は同じですが、音質的には全くの別物。一言で言うならOriginal Sourceの方は最近の録音と言われても知らなければ、そうとしか思えない現代的な音質です。 音場感もよりライブに近い感じで楽器の位置関係がより明確に聞き取れます。初期盤はレンジが狭めで、オーケストラが団子になった小さめの場所に押し込められたような感じがします。 家人や友人にも聴いてもらいましたが今のことろOriginal Sourceの方が音が良いと言うのがコンセンサスです。

このLPはそれほどでもないのですが、レコードによっては空気感もかなり良く再現で来てるという感じするものも多くあります。今までDGのLPは、演奏は素晴らしいが、音質はそれほどでもないと言うのも多く、オーディオマニアとしてはいつも残念に思っていましたが、Original Sourceはそれを払拭して余りあるものだと思いました。

Original Sourceシリーズの特別サイト(https://www.the-original-source.com/)もあって、ここには当時の録音技師とOriginal Sourceをカットした技師たちとオーディオ評論家の対談を収めたビデオ(英語)などもあり、オーディオマニア・音楽ファンとしてとても興味深くまた新しい知識を得られるサイトです。『DGは品質管理が厳しかったため、マスタリングの工程も複雑でそれが音質的には良くなかった』とか、『技術の進歩とオーケストラ楽団員組合による就業時間短縮の圧力により70年代後半からはマルチチャンネルの多重録の変わっていった』 などなど 

Original Sourceが他のレーベルのLPも含めた比較で高音質盤かというとそうでないかもしれません。私の好みとしては同じ時代のDECCAやPhilippsにより音質が高い盤が多い様な気がします。また、DGの場合、デジタル化された音源の方が私の好みに合った音質に近い物が多い気もします。 しかし、DGにしかない名演奏は数多くあり、それらをアナログできるだけ良い音で聞きたい方は試しに一枚買って聴いてみても損はないかと思います。 


0 件のコメント:

コメントを投稿