2022/12/29

Fidelix Lirico - MC ヘッドアンプ



去年の3月にウィーンを離れた際に、オーディオ仲間で友人のノベルトさん(こちら)から彼がアナログ盤をAD変換してCDに落としたものをいただきました。一度彼の家で聞かせもらったもので、その時に音の良さにいたく感激したことを覚えていたくれたのです。このいわゆる「板おこし」に使ったのでイギリスのNVA社(https://nvahifi.co.uk/)のフォノイコでノベルとさんのメイン機器です。 

沖縄に来てから一度も聞いていなかったそのCDをひと月ほど前にたまたまかけたら、その音の良さに再度ビックリ。 これがきっかけでアナログ周りを今一度見直してみることにしました。

その時点でのアナログシステムは、Linn LP 12 (EKOS, Lingo, Krystal)+K&KAudioのLudahl LL1931 使用のMCステップアップトランス(こちら)とANK Audio Kitsの自分で組み立て一部改造したフォノイコ (こちら)です。トランスとフォノイコ、フォノイコとプリアンプ間のケーブルは自作のもの(こちら)。
  
こうなるとやはり、フォノイコを換えてみたい! オーディオ大先輩の友人からは、DACTのボード(http://www.dact.com/html/phono_stages.html)を使った自作を勧められましたが、今回は、今後のDIYのためにレファレンスとして既製品が欲しいとの気持ちもあり、色々と悩んでいたのですが、Fidelix 社のLeggiero(レジェーロ)  に心が固まり。同社に電話すると在庫がないとのことで予約を入れました。 気持ちはレジェーロになっているので、ネットや雑誌などで色々とFidelix社製品の記事・投稿を読んでいると、MCヘッドアンプのLiricoも良いらしく、レジェーロと組み合わせると最強らしい。もうすぐ還暦の誕生日だから自分からのプレゼントと言い訳をつけて、Fidelix社に電話すると在庫があるとのこと。というわけでLiricoが先に我が家にやってきました。

到着翌日は出張の予定があったのですが、待ちきれずステップアップトランス(SUT)と交換して試聴。久しぶりに「ワオ〜」な感激。聴き慣れたレコード から聞こえてくる情報量の多さにビックリしました。期待を大きく上回るものでした。 聴こえなかった音が聞こえるというよりも、声・楽器などの質感が大きく向上、録音時のニュアンス(ホールエコー、スタジオ録音だと録音時のエコーの掛け方など)がはっきりと聴き取れます。K&KAudioのSUTも、ウィーンでオーディオ仲間を唸らせた優れもので、その音はとても気に入っているのですが、 Lirico  を使うと同じスペクトラム上で良し悪しを比較するというのとは別次元の異なる再生ができると言った感じです。  

出張で当初のユーフォリアからだいぶ覚めて、より冷静に両者を比較すると、Liricioはより中庸でフラットにカートリッジで拾った音をそのまま逃すことなく再生するという感じで、音の良いレコードからはそれが2、30年前のものであっても、最近の録音されたアルバムのハイレゾファイルと比較しても遜色を感じさせない鮮度の高解像で情報量の高い良い音が再生できます。K&KAudioのSUTは、カートリッジが拾った音に多少の解釈が加わって、Liricoとは違った聴きごたえのある音を聴かせてくれると言った感じです。私の記憶と経験値をもとに述べるなら、Liricoの方がはるかに大きな音質的アップグレード効果があるように思われます。 

Lirico は、安い買い物ではありませんが、既にMCカートリッジをお持ちで、カートリッジのアップグレードをお考えであれば、高いカートリッジよりもLiricoの方がより音質に与えるアップグレード効果が高いのでは無いかと考えます。高級カートリッジを買う前にこちらを検討するのも良いかと思いますよ。 


2022/12/23

Haigner - PianoForte Loudspeakers - ネットワークコンデンサのアップグレード 



ヨーロッパの旅行から帰ってきてから、すぐ出張などもあり、気忙しく ブログ更新まで手が回らずご無沙汰してすみません。

私が今使っているスピーカーは、Haigner 社 (こちら)主宰でウィーンのオーディオ友達でもある David Haigner氏が作ってくれた「PianoForte」です。ちょうど私がウィーンを離れることが決まり、彼に日本の住宅事情にあったものが欲しいと相談したら、当時試作中であったこのスピーカーを勧められました。ダビッドさんは完璧主義なアーティスト肌で友人思いの方なので、より良いものをと最後の最後までネットワークの適正化のためチューニングしてくれて、届いたのは引っ越し屋さんが荷造りに来た当日! 沖縄で初めて聴くことになったスピーカーです。去年の今頃オーディオを再開し、聴き始めて一年ちょっとになります。

ご覧の通り、ツーウェイですが、彼設計の小型エンクロージャー集大成とのことで、一見バックロードホーンに見えますが中身は全く異なり、製作中に中身を見せてもらいましたが、技術的なことは全く分かりませんでした。このサイズからすると軽量なスピーカーですが、音は申し分ない私好みの音で特にサイズからは考え難い低域の再生は白眉です。 我が家はリビングオーディオなのでセッティングに制限があるのですが、試作品をダビッドさんの家で聞いた時は音場・音像再生もかなりの優れものでした。

先月、ウィーンに行った際に、ダビッドさんとノベルトさんに会って会食をした際に、彼がネットワークのコンデンサをドイツ Intertechnic社の Ayudyn True Copper(こちら)へアップグレードすると音が一段とよくなるとのアドバイス。 値の張る部品だけどその価値はあるとのこと。彼も、自宅では「PianoForte」をよく使っているとのことで、色々と試した中でこれが一番おすすめであるとのこと。 かなり良いお値段でしかも大そうなので迷っていましたが、イギリスのオーディオパーツ通販のHifi Collective (http://www.hificollective.co.uk/) からブラックフライデー割引クーポンが届いたので買うことに決めました。

ダビッドさんとのお約束でコンデンサの値にはマスクをかけています。

実際に届いたものを見ると想像以上に大きい! そして重たい! 😅



届いた直後の週末はたまたま日中用事がなかったので、交換作業をしようと思って、スピーカーの裏面を開けてネットワークを取りだしたら。。。どう取り付けようか? 良いアイディアが浮かびません 😕   ダビッドさんに連絡を取ると、上の写真右の大きなコイルから最低2cmは話すべき、真ん中上方の白い小さなコイルの上に板を貼って載せればとのアドバイス。でも晩の予定があったのでそこで時間切れ。




で、やっと先週末に作業を完了しました。肝心の音ですが、換えてからすぐは高域が篭り、スキッとしない音でした。デビッドさん曰く、長くて2ヶ月はエージングが必要とのこと。ここ4〜5日で少しずつ見晴らしがよくなってきています。情報量はかなり増えた感じです。ホールエコーなどの録音時のニュウアンスがよりよく聞き取れます。でも、録音の良し悪しもわかりやすくなった感じですので、良いものはよりよく、今までは気にならなかったイマイチなものの中には「あれっ?」というのもの出てきました😆